【感想】女の園の星 1巻

満足度:★★★★★

以前「夢中さ、きみに。」という短編集がTwitterでバズった際、和山やま先生の存在を知りました。同作が非常にゆるいテンポで、キャラクターを無理なく等身大に描いている点がとても魅力的だったので、初連載という「女の園の星」を買ってみました。

 おもに、「女の園」こと女子高において教師を務める星先生の視点で物語は進みます。一話完結式のオムニバスぽい感じです。いわゆる「女子高ノリ」を少し俯瞰して外側から眺められるような楽しみがあります。

 

よかったところ

・絵柄。星先生は作中でとりたててハンサムと持て囃される描写はないですが、キレイな顔をしています。とくに死んだ目と、意外にも表情が豊かで笑顔がめっちゃくちゃに可愛いです。星先生以外のキャラクターもリアルなタッチで描かれており、「動物のお医者さん」等が好きだった方には話・絵柄ともに刺さりそうです。

・空気感。たとえばクラスでちょっと浮いてる(けどいじめられたりしてるわけではない)女の子や、星先生が教室にやってきたときの女の子たちの一瞬黙る空気、声をかけても店員に届かないもどかしさといった日常の些細な風景を、切り取るのではなく流れるように描写していて、1コマ1コマじっくりと読みたくなります。

・キャラクターが立っている点。星先生はずれた感性を持っていて浮世離れしていますが、だからといって孤立しているわけではありません。星先生によく絡んでくる小林先生も、突っ込み役だけどボケもこなせます。キャラクターを多面的に描いていて読んでいると親しみがわきます。

 

大事件が起こったりするタイプの起承転結ある漫画ではないですが、「このキャラたちはどんな生活を過ごしているんだろう」ともっと読みたくなる、素敵な作品でした。